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石井暁子(12文A)著
2013年2月 講談社ビジネスパートナーズ
定価:3,800円+税
ISBN 978-4-87601-992-2

-序文抜粋-

カルロ・クリヴェッリは15世紀のイタリア・ルネサンス全盛期に、
中部の山間の街でひっそりと地元の教会の為の祭壇画を作り続けた画家である。
後に「祭壇画の詩人」と謳われるクリヴェッリの祭壇画は、
卓越した技術と研ぎ澄まされた審美眼に裏打ちされ、
透明感のある鮮やかな色彩と緻密な筆致で描かれたこの上なく美しい作品に仕上げられている。
その数は、およそ100作品以上になるであろう。

複数の板絵で構成される祭壇画は、ナポレオン侵攻から始まる激しいイタリアの歴史の波に翻弄されて、
祭壇画のそれぞれ一枚ずつがバラバラにされ世界各地に持ち去られてしまうことになる。

現在欧米の美術館にあるクリヴェッリ作品のほとんどが、
美しいから故に持ち去られた「聖母子」「ピエタ」で、
美しい作品の故に人の手に渡り守られて今にある。
これはクリヴェッリ作品だけでなく、世界中で珍重される
ジョバンニ・ベッリーニの聖母子像にも言える、祭壇画の運命なのであろう。

本書では、世界各地に散らばって飾られているカルロ・クリヴェッリの作品が、
元々はどの祭壇画の一枚だったのか、現在判る範囲で再構成してみた。
カルロ・クリヴェッリが制作した祭壇画の本来の姿を少しでも再現できただろうか。

カルロ・クリヴェッリに興味を抱く方が、
この本を携えて現地を訪れ実物に触れる機会をもってくださればと、
そんな思いも込めてみた。