成城学園同窓会公式ホームページ>>成城学園へ

ワンキャンパスで学んだ先輩たちのストーリーを大学生のインタビューでお伝えします。

Stories - 卒業生インタビュー - 企画について

【目的】
成城学園同窓会は、同窓生相互の親睦を図り、かつ母校の発展に協力することを目的として設立され、
これまでに多岐に亘る事業活動をしてきました。
事業活動の1つとして学生支援も行っています。

今回は、経済学部の境新一先生のゼミ生と連携し、
「実社会に向けて見識を深められる機会を提供できれば」という学生ファーストの視点で、
各業界で活躍中の卒業生へのインタビューを通じ、社会人形成期にあらたな発見と知見を拡げられる
支援を企画しました。

第11回卒業生インタビュー

取材日時:2023年11月27日(月)13:00~14:30

取材相手:大日本印刷株式会社 営業課長
竹内麻子氏(52回文芸)

 

Q学生時代に打ち込んだことは何ですか。
大学時代にやってきたことを語るとしたら、私には4本の柱があるのかなと思います。1つ目は、空手です。空手は新潟の高校時代から3年間続けていて、大学に入ってからも打ち込みました。空手部の活動は週2回のお稽古と、夏合宿、冬合宿、審査会、四大戦、文化祭がありました。空手部の師範や先輩後輩、同期に出会えたことは一生の宝物だと思っています。2つ目は、2回の短期留学です。1回目は1年生の終わりの春休みに北京大学に1ヶ月、2回目は2年生の夏休みにアルバータ大学に3週間行きました。留学に行ったきっかけとしては、元々海外が好きというのもあったのですが、高校時代にオーストラリアに行ったことや、大学1年生で初めて中国語を学んだときに、興味深いと感じたからです。また、当時北京オリンピックが開催されるタイミングだったのでより一層現地に行ってみたいと思いました。アルバータ大学は、成城大学のプログラムで単位も取れるため行きましたが、そこで一生の友人に出会えたり、一度しかできないような経験ができたことは自分の中で宝物になりました。3つ目がアルバイトです。アルバイトは六本木にある中華屋さんで働いていました。そこは、中国留学に行った際に出会った友人が紹介してくれたお店なのですが、土地柄外国人が多く、お店には中国人しかいなくて、オーダーも全部中国語でした。会話力や対応力を学べたと思っています。4つ目は、マスコミ学科の友達と色々なところに遊びに行ったことです。今でも月1回5人組の友人と会っています。会社に入ってから辛いことも多いですが、自分自身のことを理解してくれてアドバイスしてくれる一生の友人と成城大学で出会えたことは、とても良かったと感じています。

 

Q学生時代はどんな学生でしたか?
元々社交的な性格かなとは思います。学生時代はネガティブで、落ち込むことも多かったのですが、就職活動や社会人になってから鍛えられました。元来何でもやりたい気持ちはありましたが、やはりマスコミ学科の友人や空手部のメンバーに支えられました。

 

Q学生時代に印象に残っているエピソードはありますか?
文化祭の演武で2枚の瓦割りに挑戦しました。本来は拳をぎゅっと作ったときに硬くなる部分で割るのですが、そのときは勢いで骨で割ってしまい、日曜日に救急で病院に行きました。ステージ上では割れたから良かったものの、痛いのを我慢しながらバックヤードに行ったことも良い経験でした。

 

Q大学では勉強以外にどんな学びがありましたか?
空手部に所属して忍耐力を養いました。部員全員で円になってスクワットを1000回やるというお稽古があったのですが、みんなでやっているから、辛くても頑張らなくてはという気持ちになって取り組んでいました。また、そのほかのお稽古でも何かにチャレンジした時に、一度失敗してしまったらやめるのではなくて、さらにそこから何度もチャレンジして成功まで持っていくことの大切さを学びました。

 

Q就活のときは印刷業界に絞られていましたか?
元々、マスコミ関係に就きたくて文芸学部マスコミュニケーション学科を選びました。出版社やテレビ局、芸能プロダクションなどを中心に受けており、大学3年生時にはマスコミ塾に通い、論文や面接の練習をしていました。結果的に、出版社は不採用となったのですが、その時に出版社に携わることができる会社は何だろうと考え、印刷会社が候補に上がってきました。DNPの説明会に行った際、社員さんの雰囲気や感じが良くてDNPを受けてみたいと思いました。

 

Q就活を通して挫折や困難だったこと、またどんな気持ちで就活をされるのが良いか、アドバイスはありますか?
私自身、就活はそこまで苦ではなかったです。その理由として、何事にもポジティブ変換しようと努力していたからだと思います。出版社はESすら通ることが難しかったのですが、「もしESが通ったら、憧れの出版社に面接に行くことができる!」というのをモチベーションにしてやっていたのを記憶しています。就活中の今でしか色々な会社に足を踏み入れる機会はないと思うとワクワクしていました。面接に対しても場数を踏んで挑戦し、「落ちる=人格否定」とは思わず、「縁がなかった」と思って就職活動を行っていました。就活生の皆さんには、就活がゴールではなくて、自分に合う会社を探すというイメージで取り組んで欲しいですし、「一緒に働きたい」と思ってもらえるようなアピールや振る舞いをするのが良いと思います。

 

 

Q竹内さんがネガティブな考えからポジティブに変わったきっかけはありますか?
私がポジティブに考えられるようになったきっかけは、嫌なことをそれなりに経験してきたからかもしれません。嫌なことを経験すると気持ちがすごく落ちるじゃないですか。でも落ちる期間がずっと続くと、自分も辛くなりますよね。でも、面白いことに、だんだんその辛さにちょっと飽きてきて、悩んでいる自分にも疑問が湧いてきて。そうしたら落ち込んでいる時間をもっと自分の前向きなことに使いたいと思えるようになりました。視点や考え方を変えるだけでかなり心が軽くなったように思います。変動性の高い時代の今だからこそ、自分を保ちながらどう生きていくか、そういうことを考える時間も大切だと思います。

 

 

Q印刷業界に対する入社当初の印象と現在の印象はどのように感じていますか?
今から15年程前の入社当時ですが、私は出版社を担当していたので、印刷会社は書籍や雑誌を印刷することがメインでした。ですが今はそれだけではなく、一般企業と出版社を繋げて、IP活用をした企画・提案なども行っています。印刷だけの会社ではなく、今は様々な事業を展開している会社であると感じています。

 

 

Q経歴に記載されてある「フランクフルトブックフェア」の経験に関して詳しく教えてください。
2016年に初めて「フランクフルトブックフェア」に参加し、その3年後の2019年10月に2度目の参加をしました。日本の出版社のどのような書籍が海外に受け入れられるのか、海外の出版社が求めているものは何かなどを中心に現地調査をしました。日本らしさを感じる書籍でも全てが受け入れられるものであるとは限りませんし、日本でヒットした書籍でも日本特有の文化が故に売れた書籍であって、海外では需要がないなど、海外視点を新たに養うことができた経験でした。

 

Q今までの仕事の中での経験で1番印象に残っていることは何ですか?
飛び出す絵本かつ音声も流れるポップアップの絵本を制作するために訪れた中国出張が印象に残っています。出版社のお客様と一緒に中国へ行き、アテンドしながら製造物の視察をしました。普段のお仕事でもやりがいと成長を感じていましたが、私は、出版社のお客様や海外の協力会社の方とコミュニケーションをとることが好きだということを改めて認識し、この仕事をやっていて良かったなと感じました。

 

 

Q顧客とよりよい関係を構築する上で大切にしていることは何でしょうか?
会話です。特に話すことよりも聞くことを大切にしています。これまで様々なピンチを乗り越えてきましたが、信頼関係の構築には、会話を重ねることが一番重要だと実感しています。ただ一方でビジネスパートナーでもあるのでお客様と対等な立場でいることは意識しています。

 

 

Q管理職になるにあたって必要な能力はありますか?
管理職になるための能力というのは多分会社によって違うかと思います。飛び抜けて何か得意なことがあるという能力は1つ大きなポイントかもしれません。もちろん、飛び抜けていなくてもバランスの取れた管理職がいてもいいですし、様々なタイプの管理職の人がいて良いと思います。私は多分、よく喋る社交的な女性、みたいな枠だと思います(笑)。人脈を広げるのが好きなので、「竹内に聞けば、あの人と繋げられるんじゃない?」などと言ってもらえたりするので、これはお恥ずかしながら強みかなと思います。何かに自信を持てるとすごく良いですね。

 

 

Qマネージャー職として部下の管理・育成をする中で、部下の力を引き延ばすために留意されていることは何でしょうか?
やはりこれも伝え方や会話だと思っています。辛いことが多いお仕事の中で、言葉のかけ方によってモチベーションが変わってくると感じます。例えば、仕事を任せる時には、「これをやっておいてね」と言うのではなくて、「忙しいところごめんね、これをお願いできますか?」という風に伝えると「私のこと見てくれているのだな、忙しいって分かってくれているのだな」のように感じてもらえることが多いと思いますし、これが重要だと思います。心地よく仕事ができる環境が大切ですよね。あとは前向きな心です。部下からネガティブな言葉が出た時には、「○○さんならできますよ」と言うだけでも、できるかもしれないと思ってくれるかもしれません。もちろんできるように私もサポートしなければいけませんが、その部下が少しマインド的に弱っているだけだとしたら、背中をちょっと押してあげるだけでもやれるかもしれない。当人にポテンシャルがあるのにできないと言っているのであれば、そこで長所を伝えながら「できるよ」と後押ししてあげるのが私の仕事かなと思っています。

 

 

Qそうした声掛けはどのようにして学びましたか?
そうした声掛けは尊敬する先輩を見たり、本を読んだりして学びました。でも部下のメンバーや構成によって臨機応変に対応しなければいけないし、特に自分より年上の方に対しては、伝え方がすごく難しいです。ですので、勢いで言わずに、まず1回考えて「こう伝えたらどう思うかな、大丈夫、いこう!」みたいにして言うようにしています。一度言葉にしてしまうと元には戻れないので気を付けていますし、そうするとどんどん成長して的確に言えるようになってくると思います。

 

Qお仕事をされる中で、大変なこととやりがいは何でしょうか?
一番大変なことは人間関係です。基本的に一人で仕事はできないので、チームメンバーの意見をまとめながら進めていきます。多種多様な意見があるので、ゴールイメージを共有するのが難しいです。しかし、それがまとまった時はやりがいを感じますし、まとめられたということは自分も成長したかなと実感します。

 

Q今後の仕事に対する夢や目標は何かありますか?
私は今、日本の出版社に対して営業を行っているのですが、今後は海外ビジネスに関わりたいと思っています。コミックスが人気なので、海外の方がいつでもどこでも翻訳版や豪華版などの書籍を購入できるように新たなチャレンジをしていきたいです。

 

Qこれまではご自身のことについて伺いましたが、ここからは私達へのメッセージを中心にお尋ねしたいと思います。
成城生の良いところや伸ばした方が良いところはどのようなところだと思いますか?
今日、久しぶりに成城大学に来てみて、空気感がすごくゆったりしているなと感じました。緑もあって、アットホームなキャンパスで、すごく良いなと思いました。成城生には、それぞれの得意分野をどんどん伸ばしていって欲しいなと思います。普通はみんな、苦手な部分を伸ばしていきたくなると思いますが、苦手な部分を普通にするより、得意な部分を人よりもできるようになった方が、それが長所ですと自信を持って言えるようになるじゃないですか。その自信はとても大切で、就活においても「〇〇の人」と覚えてもらえるので、強みになると思います。皆さんにとっても、得意なことや苦手なことがあると思いますが、得意なことは多分、時間をかけることが苦じゃないと思います。そういうところを積極的に伸ばしていって欲しいです。私はそれに気づくのが少し遅かったなと感じているので、自分は何が得意なのだろうっていうことにまず気づくのが大切かと思います。人生のグラフを書いてみたときに、この時なぜ落ち込んだのか、この時はほんとに調子良かったなとかを考えていくと、自分の得意なこととか好きなことが見えてきます。苦手なことも客観的に見えてくるはずだから、その点をしっかり時間をかけてやると、今後の人生においても糧になると思います。

 

 

Q管理職として、今の学生に養ってもらいたい能力はありますか?
ExcelやPowerPointを使えるとか、英語を喋ることができる等、資格を持っている、とかはすごく頼りになる能力だと感じます。でも正直、そういう能力は頑張れば誰でもできることですから、それよりは個性を活かしたような何かをして欲しいですね。やはり、素直に受け入れる力とか、何でも1回やってみるという能力は必要です。聞くスキルっていう面で言うと、リアクションをちゃんとしてくれるとか、メモをとってくれるとか、それに応じた前向きな返答がちゃんとできるとすごく良いと思います。

 

Q大学時代にやっておけば良かったことがあれば教えてください。
私は結構やり切ったかなと思っています。でももっと色々なアルバイトをするとか、もっと海外に行ってみるとか、もっと遊びに行ってみるとか人生のネタを増やしておけば良かったかなとも感じます。学生当時は結構精一杯だったので満足はしていますが、英語をしっかり喋れるようになるまで頑張りたかったとも思います。今も会社のプログラムで英語は学んでいます。今の方が仕事で使う機会があるし、自分にも英語を使いたいという意思があり、一生懸命勉強するようになったのでTOEICの点数は学生当時よりも上がってきています。だから皆さんにもこういったものがあると良いなと思いますね。

 

Q大学を卒業して社会に出るにあたって、必要な能力や、心がけることはどのようなことだと思いますか?
やはり前向きな心かなと思います。前向きな心を持つことができていたら、ネガティブな出来事や困難があってもきちんと視点を変えることで、前向きな視点からアプローチをすることができると思います。就活でも、企業が「頑張ってきたことは何ですか?」と聞くのは、「頑張ってきて、それをどう乗り越えてきたのか」が気になるわけです。その会社に入って、「私の能力はこう活かせますよ」が企業側としては欲しいのです。だから、この人と一緒に仕事したいなと思える何かを持っている人やこんな私の能力を使ってください、等を見つけると素敵かなと思います。

 

長時間にわたり、有難うございました。

 

 

編集後記

第11回OBOGインタビューでは大日本印刷株式会社の営業課長職にてご活躍されている竹内麻子さんにお話を伺いました。ご自身だけではなく、相手も前向きな気持ちにしてくださるお人柄で、とても楽しくインタビューをさせていただきました。
竹内さんは様々なことに興味を持ち、何事にも挑戦しながら、常にプラス思考で取り組むことが重要であるとおっしゃっていました。
今回のインタビューでは、何事にも挑戦すること、物事のポジティブ変換、会話を大切にすることがお話の中で特に印象的でした。また、成城生の良いところ、伸ばすべきところを的確にアドバイスしてくださり、これから社会に出るにあたって非常に勉強になりました。

成城大学経済学部 境新一ゼミ

吉田来哉(経済学部3年)
市丸 麻里子(経済学部3年)
神谷 千聡(経済学部3年)
河野真祈(経済学部3年)
藤川 莉安(経済学部3年)

竹内さんを囲んで集合写真

後列左から 市丸 麻里子、神谷 千聡、河野真祈、深谷友美子(常任副委員長)、鈴木小夜子(常任委員)、本田敏和(事務局長)、
前列左から 藤川 莉安、境新一先生、竹内麻子氏、吉田来哉