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【Stories – 卒業生インタビュー -】第6回 株式会社電通 スタートアップグロースパートナーズ 秋山 二朗氏

Stories - 卒業生インタビュー - 企画について

【目的】
成城学園同窓会は、同窓生相互の親睦を図り、かつ母校の発展に協力することを目的として設立され、これまでに多岐に亘る事業活動をしてきました。事業活動の1つとして学生支援も行っています。
今回は、経済学部の境新一先生のゼミ生と連携し、「実社会に向けて見識を深められる機会を提供できれば」という学生ファーストの視点で、各業界で活躍中の卒業生へのインタビューを通じ、社会人形成期にあらたな発見と知見を拡げられる支援を企画しました。

第6回卒業生インタビュー

取材日時:2023年1月17日(火)13:00~14:30

取材相手:株式会社電通 スタートアップグロースパートナーズ 秋山 二朗氏(17回法学C)


Q.幼稚園から大学まで成城学園と関わられていますが、幼稚園や初等学校ではどのような生徒でしたか。
A.結構活発で元気な生徒だったのではないかと思っています。
生徒だけではなく保護者や先生と仲が良く、いろいろな人とコミュニケーションを取るのが好きでした。自分は三兄弟の末っ子で、姉と兄も成城に通っていたので比較的顔も広く、可愛がられるキャラクターでした。少し調子に乗りすぎるところもあったので、普段怒らない先生を本気で怒らせてしまうことがありました。

Q.中学から大学まで部活でラグビーをされたと伺っていますが、
ラクビーをされて学んだことはありますか。

A.ラグビーは仲間のために自分を犠牲にして体を張るようなスポーツなので、一緒にプレーするメンバー、補欠のメンバー、スタッフ、保護者など、関わる多くの人にリスペクトを強く意識できるようになりました。大半の仕事は一人ではできず、様々な人の力を借りてビジネスするものだと思っています。まず責任をもつこと、そして仲間をリスペクトしながらやっていくということが、ラグビーを長くやっていて役に立ったことだと感じています。

Q.コロナ禍で大学生活を無駄にしてしまった感覚があるのですが、
大学生活でやっていて良かったこと、やっておけば良かったことはありますか。

A.大学の時にやっていて良かったことは、やはり部活です。初等学校から始めたラクビーを大学時代も続け、長く打ち込んだものがあると自分を語る上で非常に分かり易くなると思います。また、試合を通じて他大学のラグビー部員と仲良くなることが多く、そこで出会った友人と今でも交流があります。そこでは仕事の話になることもあり、仕事でも相談し合ったり貢献し合ったりしています。
あとアルバイトもやっていました。幼稚園からずっと成城に通うだけだと浮世離れしてしまうことがあるので、バイトをすることですごく社会勉強になったと思います。お金を稼ぐ大変さを知り、成城から一歩離れて様々な人と出会うことができたのは良かった点です。
やっておけば良かったことは勉強です。高校時代は弁護士を目標に法学部に進んだのですが、進学するとラグビーに打ち込むようになってしまいました。
現在はスタートアップ企業を支援する業務に就いていますので、ビジネスの構造などを理解・分析できる能力が早いうちから身についていると、現在の仕事にも役に立ったと思います。
今だったら経済学部や社会イノベーション学部に進んだ方が良かったかなと思います。
学生時代の延長で将来を考えていくのも大事ですけど、「未来にどういう自分になっていたいか」や「こういう未来になっていそうだからこんな仕事に携わっていたい」などを思い描き、バックキャストで物事を考え、興味が湧いた分野を勉強するというやり方をしても良かったのではないかと思っています。
あとは留学ですね。英語はできないよりはできた方がいいし、英語の上達や海外の文化を体感することで視野も広がると感じます。コロナ禍で、思い描く学生生活とは違った環境になったと推察します。
しかし、裏を返すと、世の中がすごく変革する時に大学生であったということは、通常の経験で得られない視点を持てたり、新しい発想を生んだり、何かプラスになることがあると思います。「無駄にした」というよりは、「勉強になった」と思えるようになると良いです。
コロナの経験をどうポジティブに変換するのかという力は皆さんのほうが絶対持っていると思います。

Q.次に秋山さんの卒業後のキャリア形成やお仕事について伺います。
高校生で目指していた弁護士から広告業界を志すようになったきっかけは何だったんでしょうか。
A.高校生だったので、あまり深く考えてはいなかったのですが、手に職をつけたくて弁護士になりたいと思いました。大学に入学してから、どうしてもラグビーが優先になってしまったため、自然に弁護士は難しいなと思い始めました。就職活動に直面してから現実的に自分は何をやりたいのかを考えた時、なかなかイメージが湧かなかったので身近なところから考えていくことに
しました。
父親が広告会社に勤めていたことが影響したかもしれませんが、最終的に広告会社に決めたきっかけはOB訪問です。各業界の人にOB訪問をする中、広告会社のOBの方々は共通して、学生である私に対してしっかり目線を合わせてアドバイスや応援をしてくれたので、こういう人と一緒に働きたいと思ったのが一番強かったと思います。

Q.将来何をするかを見つけるきっかけを掴むためには、学生時代には何ができると思いますか。
A.学生の時にすごく広告代理店に行きたかったかと言われるとそうではありません。就職活動を経て広告業界に行きたいと思って、希望の会社には入社できなかったけど、望む業界には新卒で入社することができたことをプラスに考えようと思いました。そして新卒で行きたい会社に入社してしまっていたら、そこがゴールになってしまうのではないかと考えました。
社会人になるということは、大きな人生の転換点でもあるし、スタート地点だと思っています。希望していた会社に入社できなくてもいいスタート地点に立てたと考えるようにしました。
今、将来の夢が明確に見えなくてもそんなに焦らないで、ぼんやりとでも楽しい未来をイメージし、それにも向って「将来こういう人間になったらワクワクする」という未来像を描いてください。

Q.自分がやりたい仕事か、自分に合った仕事のどちらを選ぶのが良いと思いますか。
A.やはり仕事はやりたいことの延長にあったほうがいいと思います。今は雇用の形態もすごく変わってきています。「仕事に人をつけるというジョブ型」と「人に仕事をつけるというメンバーシップ型」があり、今までは終身雇用をベースとしたメンバーシップ型が主流でしたが、どんどんジョブ型に変わってきています。自分が仕事を身につけて、そのスキルを持って色々な業界を渡り歩きながらステップアップしていくというスタイルになっていくことを考えると、自分がやりたいことの延長に仕事を置いた方が私はいいんじゃないかと思います。

Q.秋山さんは転職を経験されていますが、どういう決意を持って就職してから
ステップアップしていこうと考えていましたか。

A.唯一内定ができた会社が三幸社(広告代理店)だったことが、社会人になった地点をスタートとしてステップアップしていくという考えに至り、またストンと腹落ちし、前向きになれたと思います。

Q.転職を複数回されていると聞きましたが、秋山さんの判断軸は、どのようなものを持っていますか。
A.就職活動する立場においての軸とは少しずれるかもしれないが、転職の軸で言うと、結果的に見ると誘われたことがきっかけでした。その時点で大事にしていたことは、自分なりの価値観としてステップアップになっているかどうかということと、もう一つはその時点の仕事の環境がネガティブだから、という理由で転職する考え方はやめようと思っていました。「もっとこういうことをしたい」などのポジティブなマインドになることは凄く大切だと思います。仕事は大変なことも多いけれど、逆にそういう時は成長するチャンスでもあるので、頑張ろうと思う気持ちが強かったです。またこのような時には少し客観視して、冷静になる事も重要と思います。

Q.自分の周りの環境を変えることに抵抗はなかったですか。
A.中堅の広告代理店は、人の入れ替わりなども多かったため、転職は普通のことの様に感じていました。これから先、転職はさらにカジュアルになっていくことが予想されます。大きな企業でも社員の教育のためにお金を掛けるということから、社員がスキルをもって「仕事に人をつける」ことが一般的になっていくと思います。

Q.現在の自分の強みは何だと思いますか。
A.現在の仕事はクライアントがいて、依頼をしてくれる顧客がいますが、相手が望むことは何かを洞察する力はこの業界において重要です。その力は持っていると思います。それに加え、人をまとめる上で相手をリスペクトするというマインドを持っているので、私は人間力、情緒的なところをメインにチームを運営していく力を兼ね備えていると感じています。

Q.それらの力はどのようにして身につけたのでしょうか。
A.多くは仕事から得られたと思います。シビアな世界で場数を踏んでいったことで磨かれていきました。そのベースとしては、学生時代にラグビーをやっていたことなどが拠り所になっています。得られた経験やそこに立ち戻って考えられるというところに利点があるのではないかと思います。

Q.自分よりも優秀な人がたくさんいる中で自分のユニークなポイントに
自信が持てないのですがどうすればよいでしょうか?

A.私が電通に入社した時は国立大や六大学出身などの高学歴の方ばかりで、分かっていましたが驚きました。就活当初は電通などの大きな会社に行きたいと思っていましたが、転職していざ入社してみるとたくさん優秀な社員がいて、幼稚園から成城の私は劣等感がとても強かったと思います。しかし、その中で努力していくことで、自分のキャラクターを信じて、感謝、リスペクトを持って接していると、人の心は動くものだと感じました。自分を見つめ直すとは、かっこいいところを見つけることではなく、小さなことでもいいので自信のあることを見つける作業です。
掘り下げる作業をしっかりやっていけば自分のいいところは必ず見つかります。

Q.現在、スタートアップ企業を支援する部署で働かれていると思いますが、
これから秋山さん自身が起業していくご計画はあるのでしょうか。

A.私もステップアップという意味で起業したいという思いはありました。そういえば昨年、同じ部署で働く30代の若い社員がスタートアップ企業に転職したという仲間もいました。
しかし起業している人やスタートアップ企業を経営している方を見るととても大変だなと感じます。私には家族もいるので、保守的になってきているかもしれません。成功しているスタートアップ企業はごく一部なので、大きなリスクも伴います。ですので、今まで以上に仕事中心の生活にシフトしていかなければいけないので、自分が起業するのは相当の覚悟が必要と感じます。ただ、今の業務を通じて得たノウハウで、定年後を見据えて、何かビジネスができたらいいなと考えることはあります。

Q.両親が自営業なのでスタートアップ企業で働いた後、その知識を生かして
ビジネスしていきたいと考えているのですが、どう思いますか。

また、どの企業が成長しやすいかを見極めることはできるのでしょうか。
A.スタートアップ企業は、確実にニーズのある市場に参入するよりは、競争が激しくないが、強いサービスや技術をもって、比較的ニッチな市場に参入して急成長を描くベンチャー企業なので、どの企業が伸びるかを判断するのはなかなか難しいです。ただ成城の卒業生には、一部上場企業で働く人もいれば、スタートアップ企業を自分で経営していく人もいて、参考になる先輩もたくさんいるので、そのようなゴール設定は良いと思います。
スタートアップ企業は恒常的に⼈⼿不⾜でもあるのでその世界に飛び込んで成長していくというのは良い考え方だと思います。

Q.転職などをされていることからチャレンジ精神をたくさん持っている方だと
感じているのですが、その源はどこにあると考えていますか?

A.ワクワクすることを追い求める性格なのかもしれません。転職後は求められていることができるかどうか不安に思うこともたくさんありますが、環境が変わることによってその分吸収することもたくさんあります。今まで見ることができなかった景色を見ることができる点では転職はとても良いことと思います。今の会社では人事異動などで環境が変わることはよくあります。
今後は今所属している会社で身につけたことやスキルをもってキャリアチェンジをし、収入アップにも繋げていく動きはより当たり前になっていくと思うので、転職は今よりももっと一般的になっていくのではないでしょうか。変化するということを当たり前のように考えられるようになると良いと思います。

Q.各会社に入社する前と後で印象が変わることはありましたか。
A.各会社に入社にしてすべて自分のイメージ通りだったことはほぼありません。入社後のことを不安に思うのではなくポジティブに考えていくことが大切だと思います。自分がやりたいことやワクワクすることに目を向けて企業を選んでいく方が良いと思います。

Q.今、求められている社会人像は何だと考えますか。
A.いろんなことに前向きで好奇心が旺盛な人です。社会人一年目で即戦力になることは難しいと思うのですが、指示を待つよりかは自発的に動けると良いと思います。また受け身にならないことが大切だと感じます。在宅勤務が当たり前になるなどコロナによって社会の景色ががらりと変わりました。このように今後どのようになるか、柔軟に物事を考えていき、軸を持ちながらも方向転換をできるようになる能力をもつことがとても大事なのではないかと考えます。

Q.今までの会社で活躍されている方の共通点は何だと思いますか。
A.今の会社でいうと、とにかくプロフェッショナル意識が高くて、仕事に対する熱量がとても高い点です。「世の中をポジティブに動かしてやろう」、「社会を変えて話題を作ろう」などの気持ちが強いと思います。ダイナミックなことを真剣に考えている人がかなり多いですね。大きなイメージを持って、それをバックキャストしていって、どういうことをするとそれに行きつくのかをしっかり考えられるような社員が多く、そして実際に実現させています。あとは遊びや趣味にもすごく熱心なのも特徴ですね。

Q.最後に、これから社会に出ていく若者や成城生にメッセージをお願いします。
A.今後、世の中は大きく変わっていきます。会社にいてもすごく実感するところなのですが、雇用形態も仕事に人を付けるジョブ型が主流の世の中になって、終身雇用も変わっていく。自分の評価制度もどんどん変わり、実力主義になっていくと思います。一方で、若い人たちが活躍して評価されやすい環境になっていくはずなので、すごくチャンスだと思います。就職するところをスタート地点だとし、「どのようにポジティブに自分の人生を歩んでいくか」という発想を持つことがすごく大事になります。会社に従順になるのではなく、会社を利用して自分が自発的にその会社のスキル、リソースを活用し、どうやってスキルアップしていくかかの発想を持つことが大切になると思います。
イノベーション、変革はコロナ前からありましたが、より実態を伴ってよりスピーディーに物事が動き始めていると思います。企業に属して仕事をするのではなく、新しい事業やビジネスを作るという起業家精神のようなものを持つことが重要になるのではないかと思います。
成城の強みは、いろいろなOBOGや仲間がいることだと思うので、そこに上手に離陸(スタートアップ)できる環境があると思います。これからの成城の学生の未来は明るいと思っています。
様々な分野で活躍できるポテンシャルを皆さんは持っていると思うので、是非これからも頑張っていってほしいと思います。
今日はありがとうございました。

【編集後記】
第6回卒業生インタビューでは、広告代理店に勤める秋山二朗さんにお話を伺いました。
秋山さんがとてもフランクにお話しくださったので、和やかな雰囲気で楽しくインタビューをすることができました。秋山さんは、大学卒業後、広告業界でキャリアアップを伴う転職を複数回され、現在は電通に勤務されています。今回とても印象に残ったのは、ポジティブなお人柄であるということです。逆境にあっても、前向きに発想を切り替えて努力し続けているからこそ、ステップアップし続けられているのだなと感じました。私達が将来に不安を感じているような質問にも前向きに考えられるよう回答くださり、「そういう考え方もあるんだ!」と学びとなったインタビューになりました。全体を通して、今回のインタビューでは貴重なお話を伺うことができ、示唆に富んだ時間になりました。

成城大学経済学部 境新一ゼミ
小林 春華(経済学部 3年)
長谷川 潤(経済学部 3年)
渡辺 千桃(経済学部 3年)
大野 菜月(経済学部 3年)

左から 本田敏和(事務局長)、大野菜月、渡辺千桃、境新一先生、秋山二朗氏、長谷川潤、小林春華、大嶋久幸(常任委員長)