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日 時:平成24年10月27日 14時半~
講演者:成瀬 廉二氏(13F)(NPO法人 氷河・雪氷圏環境研究舎代表)
会 場 :成城大学 3号館322教室
お申込みはこちらをご参照ください。

【講演概要】
55年前の1957年、第一次南極観測隊が昭和基地を設置して以来、
南極の気象、氷、オーロラ、地震、岩石、生物など、様々な分野の研究を行っています。
現在は衣食住は完備されているとは言え、 基地の外の自然環境は、
猛烈な吹雪、氷の割れ目、マイナス50度の厳寒の世界です。
そこでの野外調査や観測、及び越冬隊の生活を紹介します。

【講演者プロフィール】
小・中・高 と成城学園にて学ぶ(1949~61年)。
北海道大学理学研究科修了(1968年)。理学博士。
北海道大学低温科学研究所職員として、氷河と南極の氷に関する研究と教育に従事(1968~2006年)。
第10次越冬隊(1968~70年)、第14次越冬隊(1972~74年) 、第34次夏隊隊長(1992~93年)。
2006年、鳥取市にてNPO法人を設立し、地球環境問題等の社会教育を実践。

【講演報告】
寄稿者:西村英二(19理甲)

秋晴れの午後、成瀬廉二博士の南極での貴重な体験を約2時間にもわたって、楽しく伺った。同博士は小、中、高と成城に学び、1961年に卒業 、北大理学部に進学、地球物理学を専攻の上、低体温科学研究所で研究を重ね、1968~70年遂に念願の第10次南極観測越冬隊に参加された。氷河の移動速度また年間積雪量の測定方法をはじめ、内陸での様々な観測、体験や越冬生活の様子等を我々素人にも分かりやすく写真を見せながら説明された。
会場には元学園常務理事篠澤公平氏(16文乙)所蔵の一抱えもある南極の岩石が展示されており講演を一段と身近に感じさせた。

南極大陸はボツンヌーテン峰を最高峰として、日本の約37倍もある大陸で、昭和基地周辺の海岸沿いのような所を除いて、一年中氷と雪に覆われているそうだ。積雪は意外に少なく年約50cm(水換算30cm)程。
また、厳寒の南極といっても、緯度による差は大きく、昭和基地周辺(緯度70°)での12,1月ご頃の気温は内地の札幌とほぼ同じとか、隊員が無理して裸で取った写真も見せられ笑いを誘った。写真はどれも空が本当に綺麗なのが印象的だったが、人物以外に木も草も全く見えず、透明な無機質の淋しい世界だった。それに比べて、若い隊員たちは、基地内でかなり近代的な設備に支えられ、元気で明るく過ごしておられる様子が頼もしく思われた。

大陸には地下水が無いとか、南極の氷から作った水はそれほど美味しくないとか、
40万年前の氷からco2の変化により地球温暖化の原因を探る研究とか…話題は尽きなかった。
締めくくりとして紹介された、1961年に発効した“南極条約” に平和利用、領土権凍結、
科学の自由と徹底した環境保全等がうたわれていることに感激。尖閣、竹島の問題を連想した。